研究概要 |
本研究では,古武術を活用した運動プログラムを作成して幼・少年への動き教育をおこない,幼・少年の体力向上の一助とできないかを検討することを目的とした. 本研究の目的は,3年間において,(1)小学生の走・跳・投動作および古武術的動作をバイオメカニクス的に分析し,(2)「古武術を活用した小学生向けの動き教育プログラム」を作成,(3)実際に小学生向けの運動教室を開催してその有効性の確認とプログラムの修正を行い,(4)ITを活用し,運動プログラムを効果的に利用するシステムを構築することである. 研究1(1年目)では,小学生の走・跳・投動作に対する古武術的身体動作の有効性を検討し,「膝の抜き」,「肩甲骨の動き」,「前に倒れる動き」などが小学生の体力向上に対して効果的であることを実証した. 研究2(2年目)では,研究1の結果をふまえて「古武術を活用した小学生向けの動き教育プログラム」を作成し,その有効性の検討を行うことを目的とした. まず,小学生向けの動き教育プログラムを作成した.その際,古武術的身体操法のうち特徴的でわかりやすい「膝の抜き」,「肩甲骨の動き」,「股関節のたたみ」の他,安全対策として「受け身」を加えた4項目を中心に,「動き教育プログラム」を考案した. そして,びわこスポーツクラブ主催で小学生を対象に週1回,4週間の運動教室を行い,運動教室の前後に動作を撮影・分析し,運動教室前後の動作を比較して,運動プログラムの有効性や問題点を検討した.週1回運動教室を継続しておこない,運動プログラムの効果をみるために4週間後,教室の前後の動作を撮影して分析し,比較・検討を行った. 運動プログラムの結果,被験者12名のうち8名の30m走タイムが向上した.また,肩甲骨の動きの指導により肩甲骨周りの柔軟性が全員向上していた.今後さらに分析を進め,投・跳動作について検討をしていく.
|