研究概要 |
代表者はこれまで,東京大都市圏において明治期から現在までの社会的背景の変化に注目しながら,ヨットやモーターボートというスポーツがいつどのような社会階層に普及し,それらの活動拠点となるマリーナがいかにして展開してきたのかを解明してきた。本研究は,この東京大都市圏での研究蓄積と地域比較することで,沿岸域におけるスポーツ行動や生産活動などの共生メカニズムを,自然環境・産業構造転換・社会階層・行動空間の諸側面から総合的に解明することを目指している。そこで本研究は,スポーツ地理学を拓く端緒として,サンディエゴ大都市圏におけるマリーナの立地と,ヨットやモーターボートを中心とした沿岸域利用を解明し,調和のとれた空間利用の創出に寄与することを目的としている。 2009年度は,前年度に引き続きサンディエゴにおいて現地調査を実施し,港湾局による過去50年間分の旧版地図や沿岸域の占有者リスト,住宅地図に相当するSanborn Mapなどを入手して,サンディエゴ大都市圏の沿岸域利用の変化について調べた。さらに,前年度の調査をもとに設定した地域類型から代表性のあるマリーナを選定し,顧客リストを入手して,集客圏について把握した。さらに,クラブの記念誌等を入手し,顧客リストを加味してマリーナの客層を調査中である。また,上記に平行して,サンディエゴ都心部におけるスポーツイベントを活かした都市再開発とその集客効果についても調査を着手した。これらを合わせて,マリンスポーツと観戦スポーツを中心とした保養都市・コンベンション都市としてのサンディエゴの地域性についても解明していきたい。
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