運動不足とそれに起因する生活習慣病者の増加は先進共通の問題である。そのことを受け、国内外では、行動科学や認知行動療法の技法を活用した運動促進プログラムの開発と効果の検討が盛んである。しかし、運動を含めた健康行動の変容介入での成功事例は運動への関心が比較的高い者である場合が殆どである。 これまでの研究では、運動無関心層は介入を行っても行動変容が生じにくいなどの理由から研究対象となってこなかった。しかし、運動実施者を今より増加させるには、この大多数を占める運動無関心層へのアプローチが不可欠である。 そこで、本研究の目的は、運動無関心者の減少につなげるために、運動無関心者を横断的及び前向きに追跡し、運動無関心者に関連する要因を明らかにすることである。運動無関心者を対象とした社会疫学研究はほとんどない。今年度は、職域約名を対象とし、大集団の横断的な疫学データベースを構築した。本データベースの解析を通して、運動無関心に関連する要因を検討中である。来年度には、同対象の追跡調査を行い、恐らく本邦初と思われる、運動無関心が解消する要因を明らかにしたい。
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