• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

運動は肥大した脂肪細胞のアドレナリン受容体の代謝回転をどのように調節するのか

研究課題

研究課題/領域番号 20700528
研究機関杏林大学

研究代表者

小笠原 準悦  杏林大学, 医学部, 助教 (20415110)

キーワード脂肪細胞 / 脂肪分解反応 / アドレナリン受容体 / 急性運動 / ポリフェノール
研究概要

【目的】
先進諸国におけるメタボリックシンドロームの拡大は、適切な治療法や予防法の確立を必要としている。メタボリックシンドロームの元凶である肥満は、全身に脂肪組織が過剰に蓄積した状態であり、脂肪細胞の中性脂肪合成能の増加や、脂肪分解能の低下によりもたらさせる。運動は、様々な細胞に生理生化学的な変化を惹起し、とりわけ脂肪細胞においては中性脂肪の合成能の低下や、脂肪分解反応の亢進を導くことから、肥満の予防や治療のツールとなる。本研究では、肥満により肥大した脂肪細胞の細胞応答性に焦点を当て、肥満した脂肪細胞の細胞情報伝達機構の運動による増幅機序の解明を目的とする。
【平成20年度の結果】
本年度は、運動実験との比較に必要な基礎データの検討を目的とし、薬理学的手法を用いて検討を行った。手始めに、遺伝的肥満ラットより脂肪細胞を単離し、様々なアゴニストの添加による細胞応答性について検討した。脂肪分解反応の亢進経路を調節するβ-アドレナリン受容体のアゴニスト刺激は、非添加群と比べて脂肪分解反応の有意な亢進を導くが、非肥満脂肪細胞にみられる同様の反応と比べて肥満脂肪細胞の増加率は低いものであった。また、脂肪分解反応を抑制するα-アドレナリン受容体やニコチン酸受容体のアゴニスト添加は、脂肪分解反応の有意な抑制を導き、抑制率は非肥満脂肪細胞に比べて肥満脂肪細胞で顕著であった。さらに、α-アドレナリン受容体のアンタゴニストの添加は、非肥満脂肪細胞や肥満脂肪細胞における脂肪分解反応の有意な亢進を導くが、前者と比べて後者は著しく増加著した。この結果は、肥満脂肪細胞における細胞応答の増幅機構は非肥満のそれとは異なり、脂肪分解反応抑制経路が有意な代謝応答が誘導されていることを示している。
加えて、運動療法と食事療法の併用が肥満の抑制に効果的であるかを検討するために、脂肪合成を抑制するカテキンタイプのポリフェノールが脂肪細胞の脂肪分解反応に及ぼす影響について検討したところ、アドレナリン受容体を介する経路とは独立した経路を賦活することにより、脂肪分解反応の有意な亢進を導くことが明らかとなった。これらを受け、平成21年度は運動による修飾作用を加味し、さらなる検討を計画している。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Oligonol, a new lychee fruit-derived low-molecular form of polyphenol, enhances lipolysis in primary rat adipocytes through activation of the ERK1/2 pathway2009

    • 著者名/発表者名
      Junetsu Ogasawara, ら(他8名)
    • 雑誌名

      Phytotherapy Research 23(印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] β2-adrenergic receptor regulate Toll-like receptor 4-induced late-phase NF-κB activation2009

    • 著者名/発表者名
      Takako Kizaki, ら(他9名)
    • 雑誌名

      Molecular Immunology 46

      ページ: 1195-1203

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Exercise training decreases expression of inflammation-related adipokines through reduction of oxidative stress in rat white adipose tissue2009

    • 著者名/発表者名
      Takuya Sakurai, ら(他9名)
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communication 379

      ページ: 605-609

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Swimming training prevents induction of suppressor macrophages in mice during acute exposure to cold2009

    • 著者名/発表者名
      Hideki Ohno, ら(他9名)
    • 雑誌名

      Advances in Exercise and Sports Physiology 14(印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Amino acid mixture identical to Vespa larval saliva increases both leptin secretion and basal lipolvsis in rat adinocvtes2008

    • 著者名/発表者名
      Junetsu Ogasawara, ら(他1名)
    • 雑誌名

      Food Science and Technology Research 14

      ページ: 95-98

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The supplementation of Oligonol, the new lychee fruit-derived polyphenol converting into a low-molecular form, has a positive effect on fatigue during regular track-and-field training in young athlete2008

    • 著者名/発表者名
      Hideki Ohno, ら(他9名)
    • 雑誌名

      Advances in Exercise and Sports Physiology 13

      ページ: 93-99

    • 査読あり
  • [学会発表] 急性運動による脂肪細胞の脂肪分解反応のメカニズム2009

    • 著者名/発表者名
      小笠原準悦, ら(他9名)
    • 学会等名
      第79回日本衛生学会学術総会
    • 発表場所
      東京都港区
    • 年月日
      2009-03-30
  • [学会発表] 急性運動と脂肪細胞のホルモン感受性リパーゼの発現変化2009

    • 著者名/発表者名
      小笠原準悦, ら(他7名)
    • 学会等名
      第63回日本体力医学会
    • 発表場所
      大分県別府市
    • 年月日
      2009-03-19
  • [学会発表] β作動性脂質代謝とユビキチン2008

    • 著者名/発表者名
      小笠原準悦, ら(他6名)
    • 学会等名
      第1回脳・神経・内分泌から運動の意義を考える会
    • 発表場所
      大分県別府市
    • 年月日
      2008-09-17
  • [学会発表] ラット初代培養脂肪細胞の脂肪分解反応に及ぼすオリゴノールの効果2008

    • 著者名/発表者名
      小笠原準悦, ら(他11名)
    • 学会等名
      機能性ポリフェノール研究会
    • 発表場所
      北海道札幌市
    • 年月日
      2008-07-25

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi