研究課題
【目的】運動は様々な細胞に生理生化学的な変化を惹起し、脂肪細胞においては中性脂肪の合成能の低下や脂肪分解反応の亢進を導くことから、肥満の予防や治療のツールとなる。本研究では、肥満により肥大した脂肪細胞の細胞応答性に焦点を当て、肥満した脂肪細胞の細胞情報伝達機構の運動による増幅機序の解明を目的とする。【平成21年度の結果】本年度は、薬理学実験を通した基礎データの収集を目的として、高脂肪食摂取マウスより脂肪細胞を単離し、β-アドレナリン受容体(β-AR)アゴニストの添加による細胞応答性について検討した。高脂肪食摂取マウスの脂肪細胞径は、通常食摂取マウスと比べて著しく肥大した。興味深いことに、低濃度のβ-ARアゴニスト刺激による脂肪分解反応は高脂肪食摂取群で有意に増加し、この時、β_2-アドレナリン受容体(β_2-AR)のユビキチン化は通常食摂取群と比べて有意に低下した。この結果は、中性脂肪を蓄積して肥大化した脂肪細胞では低濃度の脂肪分解刺激に対して反応が亢進し、これはβ_2-ARの細胞内への内在化の低下に起因すること示している。一方、カテキン型ポリフェノールは、初代脂肪細胞の活性型Rasタンパク質の増加を介したMAPキナーゼ経路の活性化能を有することも見出している。現在は、肥大化した脂肪細胞のβ_2-ARの代謝回転に及ぼす運動の効果や、カテキン型ポリフェノールによるMAPキナーゼ経路の下流に存在する分子について検討している。
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