研究概要 |
本研究では,非侵襲的に骨格筋カルノシン濃度を評価することを目指して,フロトンの磁気共鳴分光法(^1H-MRS)による測定を試み,^1H-MRS法によって評価した骨格筋カルノシン濃度と筋バイオプシー法によって評価した骨格筋カルノシン濃度との関係について検討することにより,^1H-MRS法の妥当性を検討することを目的とした.被験者には健康な一般成人男女18名(男15,女3)を用いた.すべての被験者は,はじめにMR装置を用いて^1H-MRSによる測定を行い,その直後にニードルバイオプシー法によって,右脚外側広筋より筋サンプルを採取した.^1H-MRS法による骨格筋カルノシン濃度(Car-MRS)は,安静時に1.5Tの超伝導MR装置の中で仰臥位になり,直径10cmのサーフェイスコイルを右脚外側広筋上に装着し測定を行った.^1H-MRS測定パラメータは,1-pulseシークエンスを用い,繰り返し時間1,500ms,データポイント2,048,スペクトル幅2,000Hz,ダミースキャン4回,積算256回の条件で,外側広筋に設定された40×15×40mmの関心領域からデータを収集した.得られたスペクトルから,カルノシンおよびクレアチンのピーク面積を測定し,これらの比(Car/Cr)を算出し,これをCar-MRSとした.一方,ニードルバイオプシー法によるカルノシン濃度(Car-Biopsy)は,筋サンプルを凍結乾燥し,除タンパクした後,アミノ酸分析器を用いて測定した.その結果、Car-MRSとCar-Biopsyとの間には有意な相関関係は認められなかった(r=0.295,ns).^1H-MRSによって評価したカルノシン濃度の測定は,ファントムを用いるなどして,さらに検討していく必要がある.
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