研究課題
本研究は、骨格筋糖代謝機能を増強させる栄養の候補物質として、コーヒー成分に含まれるカフェインに着目して、カフェインの抗糖尿病効果の分子メカニズムを検証するために、血糖降下作用の制御に直接関わる有力なシグナル伝達分子であるAMPK活性効果作用を検証した。申請者は、雄性SDラットから摘出した速筋epitrochlearis(epi)と遅筋soleus(sol)を用いて、3mMカフェインは、epiとsolにおけるAMPKのリン酸化を上昇させ、糖取り込み量も増加させたことを報告している。また、アイソフォーム分析の結果、AMPKはα1,α2をともに活性化し、その活性化はATP, PCrの低下を伴ったことを明らかにしており、カフェインは、運動に類似した抗糖尿病効果をもつ可能性を示唆している。そこで、In vitro実験の成果に加えて、本研究は、カフェインの生体投与が骨格筋の血糖とAMPK活性効果に作用するか否かを検討した。雄性SDラットを対象にして、カフェイン5mg/kgの尾静脈投与後、30分、60分、120分後にepiとsolを摘出した。その結果、投与後120分後においてepiとsolともにAMPKのリン酸化を上昇させた。また、AMPKの基質となるアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)のリン酸も上昇させた。カフェイン投与後の血糖値は正常範囲内を維持し、顕著な変動は見られなかった。インスリンは、投与後に減少する傾向が見られたが、有意な変化は示さなかった。本研究の結果から、カフェインはAMPK活性効果を介した骨格筋の糖代謝機能を増強させる有力な栄養補助物質になることが示唆された。
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