本研究は、住民自らが自身の健康的な生活を楽しみながら継続できるような習慣を定着させるシステムを開発することである。平成21年度は、前年度に開発した「生活(行動)履歴記録確認システム」のプロトタイプについて改良を行った。とくに、下記の3点について改善を行った。1. 携帯アプリ対応、2. 生活(行動)履歴の可視化、3. 記録内容の簡易化である。また、改善したシステムについて、大学生20名を対象とした1週間のモデル実験を行った。結果、全14項目(1日の食事回数、食事時間帯、食事量、食事内容、朝食、1日の間食回数、間食時間帯、運動頻度、飲酒頻度、飲食時間帯、飲酒量、起床時刻、就寝時刻、睡眠時間)に対する健康意識は、「食事の時間帯」「運動の頻度」「1日の食事回数」「飲酒の頻度」「食事の量」「1日の間食回数」「飲酒時間帯」「就寝時刻」の8項目について、意識の向上が認められた被験者の数が、低下した被験者数よりも多くなっている。モデル実験結果より、本システムの意識変容に関する効果が示唆された。また、意識が改善された被験者の行動として、本システムへの記録を都度入力するのではなく、行動後にまとめて入力していることが明らかになった。さらに、「健康行動目標達成支援システム」のプロトタイプを作成した。健康行動目標達成支援で記録される目標達成結果、および生活(行動)履歴記録の両方を確認することで、個人の健康生活習慣の定着において、データに裏付けられたPlan→Do→Check→Actionの健康生活管理サイクルが実現できるであろう。
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