研究概要 |
平成21年度は昨年度中に計画された小学生約6000人を対象に生活・運動習慣に関する調査を始めに実施した.また,平成21年度は幼児期の子ども達600人以上を対象に調査をする機会も得ることができた.これらのデータをもとに多くの学会発表を行った.アメリカのAmerican College of Sports Medicine,日本体育学会,日本体育測定評価学会,日本発育発達学会などでこれらのデータを用いた発表を行った.特に,日本体育測定評価学会では,児童期6年間における生活習慣の変容を項目反応理論を用いて詳細に分析し,生活習慣獲得のための一指針を示した.同発表では,同学会における最優秀発表が内定し,2011年度に論文化が決定している.さらに,幼少期を対象とした様々な取り組みの場において,上記データをもとにした講演会に複数回招待され講演を行った. 上記の研究を通して,本研究課題の目的であった生活習慣獲得指針として以下のような示唆をえた.幼児期においては,年少期が活動的な生活獲得の重要な時期であり,年中期が基本的な生活リズムや手伝いといった家庭内での生活習慣獲得の重要な時期であることが明らかになった.児童期では,1) 生活習慣管理全体の能力は学年が進むに連れて低下する傾向,2) 男児では中学年までは改善が見られるが,女児では児童期を通して悪化しており対策が必要,3) 運動習慣は,男児では発達に伴い改善するが,女児では特に中学年以降,急激な悪化を示すため対策が必要,4) 食事習慣は,4年生頃までは全体的に習慣獲得が進むが,高学年になると男女とも乱れやすい時期が存在する.ということを明示した.このように,幼少期に関するある程度の指針は示すことができた.残念ながら中学生期の指針を示すことができていないが,既に調査は完了しており,本科学研究費補助期間終了後も継続して分析を進め,指針を提示していく予定である.
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