初年度は子育て世代家族成員(親、子)の健康度および家族機能に関する評価尺度の開発を行った。 1)家族成員の主観的健康度および家族機能評価尺度の開発 わが国における先行研究や既存統計の調査項目を参考にして、親およびこの年齢に応じた主観的健康度質問紙を試用した。また、家族機能評価尺度に関する文献研究を実施し、予備的尺度として視覚アナログスケール(VAS法)を用いた試行版家族機能尺度を作成した。この試行版家族機能尺度と既存尺度とを併用した予備調査を実施し、回答のしやすさ、所要時間を評価した。本研究の最終目標である大規模調査に向けて、開発された評価尺度は既存尺度よりも包括的かつ簡便である点で貢献する。しかし、家族成員の詳細な情報が反映されない点が課題であることから、次年度はより多くの親子を対象とした予備調査を実施する。 2)子の年齢に応じた質問項目(用語)プールの作成 自記式質問紙法では正確な回答が困難とされる10歳未満の子と、10歳以上の子に分類し、子ども自身の健康度および家族機能を評価するために必要な質問項目を収集した。次年度に計画されている予備調査に向けて、10歳以上の子向けの試行版を作成した。この試行版を用いて研究協力機関において予備調査を実施したところ、VAS法を用いた評価方法と多肢選択法の併用によって詳細な情報が反映されることがわかった。1、2の段階で得られた知見は、新たに開発した尺度の信頼性および妥当性を評価する上で有用な情報である。 3)家族機能に関する評価尺度の文献レビュー 国内外の関連領域(公衆衛生、健康教育、体力医学)の学会に参加し、家族機能評価に関する情報を収集した。また、商用データベースを用いて参考文献、公表論文、学会抄録を収集し、先行研究をレビューした。このレビューは次年度以降継続して実施し、尺度構成の参考とする。
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