研究課題
生活習慣病の新しい検査法を確立し、早期発見のための負担が少ないスクリーニングが可能にすることを目的として、青森県弘前市岩木地区に在住する一般住民約1000人を対象とした健診において、呼気ガス分析データを解析した。また、それと同時に年齢、性別や生活習慣などをアンケートによって聞き取り、採血検査も実施して脂質異常症や糖尿病の有無や程度についても調査した。さらに、血圧脈派検査装置BP-203RPEII(オムロンコーリン株式会社製)も行って動脈硬化の程度、そして体組成計MC-190(株式会社タニタ製)を用いて体重および体脂肪率を把握した。質量分析法による呼気ガス分析は極めて新しい手法であるため、そのデータの裏付けとしてガスクロマトグラフによる同一検体のガス分析(水素、一酸化炭素、メタン、イソプレン、アセトン、アセトアルデヒド)を行った。ガスクロマトグラフの結果と生活習慣病の解析結果としては過敏性腸症候群と呼気中水素濃度との関連が挙げられる。過敏性腸症候群は欧米で有病率が高く、わが国でも発症の増加が見込まれる消化管の機能障害であり、これまでは精神的なストレスと大きく関連すると考えられてきた。しかし、単一の疾患ではない可能性も指摘されており、腸内細菌の異常増殖との鑑別が問題となっている。本研究の結果から、過敏性腸症候群の原因精査を含めた新しい検査法が確立される可能性が期待される。しかし、現段階では質量分析法の結果を解釈することが大きな課題であり、今後、ガスクロマトグラフの結果との整合性を検討する予定である。
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