研究課題
生活習慣病の新しい検査法を確立し、早期発見のための負担が少ないスクリーニングが可能にすることを目的として、青森県弘前市岩木地区に在住する一般住民約1000人を対象とした健診において、呼気ガス分析データを解析した。それと同時に年齢、性別や生活習慣などをアンケートによって聞き取り、採血検査も実施して脂質異常症や糖尿病の有無や程度についても調査した。また、血圧脈派検査装置form(オムロンコーリン社製)により動脈硬化度、体組成計MC-190(タニタ社製)により体脂肪率の測定も行った。さらに、酸化ストレスの指標として好中球機能(活性酸素種産生能、貪食能、血清オプソニン化活性)も測定した。質量分析法による呼気ガス分析は極めて新しい手法であるため、そのデータの裏付けとしてガスクロマトグラフによる同一検体のガス分析(水素、一酸化炭素、メタン、イソプレン、アセトン、アセトアルデヒド)を行った。その結果、質量分析法による測定結果はガスクロマトグラフによる結果と相関がみられなかった。そのため、その後の研究ではガスクロマトグラフの測定値と生活習慣病との関連を検討した。その結果、過敏性腸症候群と呼気中水素濃度との関連が明らかになった。過敏性腸症候群は欧米で有病率が高く、わが国でも発症の増加が見込まれる消化管の機能障害であり、これまでは精神的なストレスと大きく関連すると考えられてきた。しかし、単一の疾患ではない可能性も指摘されており、腸内細菌の異常増殖との鑑別が問題となっている。本研究の結果から、過敏性腸症候群の原因精査を含めた新しい検査法が確立される可能性が期待された。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
The Journal of Biological and Chemical Luminescence 25(未定(印刷中))