研究概要 |
運動不足や身体活動量の低下に伴う慢性代謝性疾患の増加は、我が国における深刻な問題である。申請者らはこれまでに、活動モチベーション低下による運動不足の要因を解明するために、高い自発的運動を行うモデル動物・SPORTS(Spontaneously Running Tokushima-Shikoku)ラットを確立した。これまでに、このSPORTSラットの高自発運動性はモノアミン酸化酵素(MAO)の調節による脳内モノアミンの上昇が原因の1つであることを明らかにしている。このモデル動物の更なる解析から、モノアミン上昇が脂質代謝亢進を亢進させ、内臓脂肪量を調節している可能性を示唆する結果が得られため、同一のメディエーター(モノアミン)が自発運動と内臓脂肪量の両者を調節していると可能性が考えられた。SPORTS ratでは、脂肪組織でのβ-Adrenergic receptorを介するAMP-activated protein kinaseとAcetyl-CoA carboxylase活性の制御によって内臓脂肪量の調節していることが明らかになり、誌上にて報告した(Mawatari K et al. Obesity 2009, 17. 印刷中)。さらに自発運動や脂肪量調節には、ある脳神経系伝達物質が関与している可能性が強まり、詳細な作用機構を解析中である。
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