研究概要 |
代謝性疾患コントロールにキーとなる身活動パターン(特に短時間の断続的な身体活動を非運動性身体活動(NEAT)と定義して)を検証した。 本研究は、メタボリックシンドロームを含む代謝性疾患者40名について、加速度計法を用い、横断的調査を実施した。全対象者のうち腹囲が基準値以上の成人26名について、別途サンプリングされた非肥満者データの中かち年齢でマッチングした26名(59±7vs58±7歳, NS)に対して、日常生活下の中等度身体活動の頻度ならびに活動一回あたりの持続時間の観点から比較した。肥満群は非肥満群に比して一日の身体活動量および中等度活動時間が有意に低値を示した(34±18vs24±13分/日, p<0.05)。30秒未満で完了、または10分以上持続する活動の頻度ならびに時間に両群間で差はなく、長時間持続する活動はごく僅かであった。一方、30秒以上〜10分未満の比較的短時間の活動について、肥満群は非肥満群より有意に少なかった(p<0.05)。疾病リスクを有する肥満者は、30秒以上に亘って持続する中等度活動が健常著に比して、絶対時間ならびに全中等度活動時間に占める割合ともに少なかった。つまり、肥満および関連疾患の予防には中等度活動時間を延長することが重要であるが、従来推奨されている持続時間よりも短時間の活動の蓄積でも有効である可能性が示唆された。 また、文献レビューを行い、最新の研究において、中等度以上の運動強度であれば、従来のトレーニング様の運動に比して短時間の断続的な運動でも同様に代謝性疾患のリスクファクターを改善する可能性が考えられた。 次年度は、さらに対象者を増やし、日常身体活動のパターンと代謝性疾患リスクファクターの関連性を明らかにしていく予定である。
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