日本・米国・中国の子どもの消費と子ども向けマーケティングの実態を検討し、少子化社会における子どもの消費行動と企業の子ども向けマーケティングをめぐる諸問題を解明するという本研究の目的のために、平成21年度は日本・米国を対象に、1.子どもを取り囲む社会・消費環境の変化、2.子どもの消費行動の変化、3.企業の子ども向けマーケティング活動の展開について分節化して研究を進めた。 本年度は少子化が進行するなかでも、順調な拡大を示している日本国内の子ども市場の実態をとらえるため、子ども向けの事業を行うアパレル企業(高級子ども衣料:子ども衣料を専門にマーケティングを行う企業および既存の大人向け高級ブランド服の子ども向け展開を行う企業)、教育関連企業(子ども向け音楽教室)、新興のエンターテイメント(知育+エンターテイメント=エデュテイメント)関連企業、子ども専用の写真館を展開する企業のマーケティング担当者を対象としたヒアリング調査を行った。いずれの企業も日本の子ども向けの事業展開に積極的に取り組むとともに、海外市場(とりわけ中国市場)を有望市場としてマーケティングの強化を図っていることを明らかにした。 先行研究でさかんに議論されているグローバル企業の子ども向けのマーケティング戦略、とりわけ「食品および飲料企業のマーケティング」をめぐるマーケティングについては、近年、米国企業を中心にした大規模な自主規制、また国境を越えた業界団体のガイドライン制定の動きがあり、その最新動向をまとめ商業学会で報告を行った。
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