本研究は、「学習意欲の形成要因」の解明を進めるものである。学校での教科に対する興味・関心を育てる要因として、家族の影響がどのように興味・関心や意欲を育てるかをより具体的に明らかにすることを目的としている。これまでの研究で、該当教科に対して近い趣味や肯定的な発言をする家族がいる場合、子どもはその教科を好きである傾向があること、子どもは家族という集団に対して全体的に好イメージ傾向にあること、選好の阻害要因として、事前事後の否定的な事象の影響があること、選好の促進要因として、強い目的意識があると、学習の遅れは劣等感ではなく自ら学習・吸収や反復学習といった向上要因となることが明らかとなった。 今年度は、決められたカリキュラムに対する学習意欲ではなく、自発的に学習を行うもの=趣味を対象とし、学校とは違い、学習の場が特に与えられる環境にない一般成人の学習の仕方に焦点を当て、どのように学習をすすめ目標を設定し意欲を形成しているかを明らかにする研究を実施した。 調査を中心に実施した結果、趣味などの自発的な学習を行う場合、生活への必要度、自負や自己表現としての目的意識、頻度と刺激の強さ、家庭内資源・文化資本、学習対象の内容が実技か鑑賞かの違い(対象に"なりたい"か"なれない"かの違い)、学習内容の高尚意識、仕事への連動によって、到達目標の設定(高さ)や学習や目的意識の持続と喪失等に影響を与えている傾向がみられた。また、取り組み方も主体的か受け身かによって、趣味を同じくする「集団」を求める場合もその集団へ求める目的が異なる事も推測された。これらの結果は家族員や教師の学習意義の伝え方によって、学習者が学習に向かう意欲や目標設定に大きく影響することを示唆していると考えられる。 来年度は、以上で推測された結果を基に、到達目標がある程度明らかである学校での学習において、到達目標をいかに高い位置に置くかについて必用な要素、そのための家庭の支援について研究を進めたい。
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