平成20年度は、(1)先行する関連諸分野の研究や調査法などについてのサーベイを勧め、(2)データ収集のための調査実施の準備、調査の設計を行い、(3)平成21年3月に調査を実施してデータを収集した(首都圏在住の25〜39歳の未婚男女2472名)。 上記のサーベイやリサーチの結果、本研究にとって重要な知見ないし前提的知識を、調査の設計に反映させた。具体的には、(1)都市部での初婚年齢の上昇を踏まえ、「若者」としての対象年齢を39歳まで含めて実施した。(2)若い世代への調査は回収率が低くなることが多いため、対象者を捕捉しやすいインターネット調査という方法を採用した。それに先立ち、インターネット調査におけるバイアスの発生可能性など、先行研究を通じて留意すべき点を確認した。(3)若い世代の履歴が、かつてのような学校卒業→修飾→結婚という一方向的な典型的モデルにとどまらなくなっていることをふまえ、複雑な履歴(学歴・職歴)にも対応できる調査票を設計した。(4)社会的ネットワークについては、先行研究との比較可能性を考慮し、自分の仕事や生き方の現在・将来に関する悩みの相談相手をたずねた。(5)若い世代の意識構造を立体的に探るべく、仕事や生き方に関する質問項目を多面的に配置した。 以上をもとに調査を実施したのが20年度の成果である。特に広い年齢層の対象者に対して(上記(1))、複雑化しつつある若者の履歴の状況を加味して調査した点(上記(3))は、特徴的で意義がある点だと考えられる。この調査で得られたデータをもとに、「若者」たちの現在や将来に関する意識の構造と社会関係について分析を進めることが21年度の課題となる。
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