平成21年度は、(1)前年度に首都圏在住の25~39歳の未婚男女(男性1236名、女性1236名、計2472名)に対して調査を実施して収集したデータについて、その分析を進めるとともに、(2)若者の意識をより具体的にとらえるべく、質的なデータ(自由回答データ)を特に収集することを目的として、追加的な第二次調査を設計・実施した。前年調査と同様に、対象は25歳~39歳の首都圏在住の未婚男女とし(男性258名、女性258名、計516名)で、インターネット調査を利用してデータを収集し、あわせてその分析を行った。 データ分析を通じて得られた知見としては、以下のものが挙げられる。(1)将来展望に対する否定的な認識は、男女問わず若者に広く共有されており、過半数の若者は自らの将来に不安を感じ、明るい展望を抱いていない。(2)そうした将来イメージに対して、具体的な対応として言及されるのは、資格・転職・結婚などの、「現在の状況と不連続な、別のステージへの移行」である。そのことは、現在の状況のもとで努力を続けることによって将来を切り開くというイメージがあまり抱かれてなくなっていることを示している。(3)その中で、ささやかであっても係留点たりうるものへの関心は一層強まっている(結婚・正社員)。 なお成果のとりまとめとしては、発表がやや遅くなったが、平成22年7月刊行の研究誌に論文1点の発表を予定している(『季刊家計経済研究』[公益財団法人家計経済研究所]第87号に掲載予定)。これ以外にも、引き続き成果論文を執筆・公表するべく、研究を継続している。
|