現代人にとって深刻な花粉症に要する衛生マスクに着目し、その機能性と装着感の改質、改善策を見出し、さらには各個人に最適な衛生マスクを開発することを、本研究の長期的な目的としている。平成21年度では、前年度まで継続して実施してきた「衛生マスクに対する問題点の調査」について、回答者の居住範囲と数を増大させ、全国の大学生約1500名を対象として調査を実施した。その結果、花粉症有症者は40%であった。この値は、被験者数が異なるものの、前年度と同程度の結果が示された。また、有症者の対処法を調査した結果、50%の者が衛生用マスクを着用することがわかった。続いて、処方薬37%、市販薬30%という対処法が挙げられた。以上の結果から、花粉症を有する若年者は、約半数がマスクを使用するものの、次いで薬物療法を取り入れていることが明確となった。 また、前年度に開発した花粉捕集効率計測システムを用いて実験を遂行していくにあたり、同システムの一部であるヘッドマネキンについて様々な使用特性を模擬するため、若年女性10名の頭部寸法および異なる発音条件での開ロサイズを、マルチン式人体計測器およびデジタルカメラを用いて測定した。 撮影した画像について、左右口角の最大直線距離(x)およびそれに垂直な開口領域の最大直線距離(y)を測定した。その結果、本実験で採用した被験者について、直線距離(x)は58mm、最大直線距離(y)は29mm程度であることが実験的に明らかとなった。次年度では、これまでに試作した計測システムおよび発音時の開ロサイズを模擬したヘッドマネキンを用いて、様々な使用状況における様々なデザインおよびサイズを有するマスクの花粉粉捕集効率を計測していく。
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