【目的】肥満や高血糖、高血圧、脂質異常などの生活習慣病は独立した疾病でなく、併発により冠動脈疾患や脳血管疾患のリスクを飛躍的に高めることがメタボリックシンドロームの概念として示されている。国民健康・栄養調査によると中高年では男性の2人に1人、女性の5人に1人の割合で、メタボリックシンドロームが強く疑われるか、もしくは予備群であると報告されており、メタボリックシンドロームの発症および進行を効果的に阻止できるメタボリックシンドローム予防食品の開発が望まれている。そこで平成20年度は、各種市販紅茶の食後血糖上昇抑制効果および食後血中中性脂肪上昇抑制効果のin vitroでの検定によるスクリーニングを行い、メタボリックシンドローム予防効果が期待できる紅茶の選抜を行った。 【結果】紅茶主要4品種(ダージリン、ウバ、アッサム、キーマン)を5社(A〜E社)から購入した計24品について、糖質消化酵素(アミラーゼ、マルターゼ、スクラーゼ)活性抑制作用を比較した。その結果、糖質消化酵素活性抑制作用は紅茶の品種・購入先によって差がみられたが、ウバが最も高い抑制作用を示した。さらに、脂質消化酵素(リパーゼ)活性抑制作用を比較した結果においても、ウバが最も高い抑制作用を示した。以上の結果より、食後血糖上昇抑制効果および食後血中中性脂肪上昇抑制効果が期待できる紅茶1品(ウバ : A社製)を選抜した。
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