【目的】肥満症や高血圧、高脂血症、高血糖などの生活習慣病は独立した病気ではなく、併発により冠動脈疾患や脳血管疾患のリスクを飛躍的に高めることがメタボリックシンドロームの概念として示されている。平成20年度は各種市販紅茶の食後血糖上昇抑制効果および食後血中中性脂肪上昇抑制効果のin vitroでの検定によるスクリーニングを行い、メタボリックシンドローム予防効果が期待できる紅茶を選抜した。そこで、平成21年度は、選抜した紅茶とプロバイオティクス乳酸菌で発酵させたヨーグルトを組み合わせた紅茶ヨーグルトのin vivoでの検定により摂取効果を検討した。 【結果】6週齢のSD系雄ラットを1週間の予備飼育後、対照群および紅茶ヨーグルト群の2群に分けた(n=7)。対照群には高脂肪飼料(ラード20%含有)を、紅茶ヨーグルト群には紅茶ヨーグルト粉末(紅茶:ヨーグルト=1:5)を24%の割合で添加した高脂肪飼料を4週間摂取させた。紅茶ヨーグルト添加高脂肪飼料は紅茶ヨーグルトの一般成分を考慮して補正した。紅茶ヨーグルト群は対照群に比べて体重増加が抑制され、内臓脂肪重量も有意に低値であった。対照群の血圧は高脂肪飼料の摂取により上昇したが、紅茶ヨーグルト群では血圧上昇が抑制傾向であった。血清脂質は有意差はないが紅茶ヨーグルト群は対照群に比べて中性脂肪は低値傾向を、HDL-コレステロールは高値傾向を示した。長期間の血糖変動の指標とされるヘモグロビンAlc値は紅茶ヨーグルト群は対照群に比べて有意に低値であった。また、糞中脂肪排泄量は紅茶ヨーグルト群は対照群に比べて有意に高値であった。以上の結果より、紅茶ヨーグルトの高脂肪負荷誘導肥満ラットに対する抗肥満作用が明らかとなり、紅茶ヨーグルトはメタボリックシンドローム予防・改善に有効である可能性が示唆された。
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