非熟練者が同じ手順、同じ作業で調理しても、熟練者とおいしさに差が現れるのは、調理作業以外に熟練者のみが持つ何かしらの技術が要因となり、料理に影響を及ぼすためと考えた。そこで要因の一つとして、様々な調理の状態、事柄を把握する目の動きに着目し、目配りと出来上がりの相関を調べ、調理技術の新たな指標として有効であることを提示するとともに、目配りの自動評価システムの構築および有効性の確認を行った。 1.目配りが調理技術へ及ぼす影響を明確 20年度にて得られた、出来上がりの品質と目配りの関連性、及び品質と調理技術の関連性から、目配りと調理技術の関連性を導き出した。そこで20年度で構築した目配り自動検出システムを用いて調理時の目配りを確認することで、目配りが調理技術に及ぼす影響を明確にした。 2.基本的な調理作業「炒める」・「練る」で検証 基本的な調理作業「炒める(きんぴらごぼう)」・「練る(ごま豆腐)」を、熟練者と非熟練者に実際に行ってもらった。調理時における品質評価に影響がある目配りと、官能検査との相関より、調理科学的指標を検出した。また同時に、構築済みである目配り検出手法から、目配りの特徴を検出して視覚的指標を検出した。これら2種類の指標から調理過程・出来上がりと目配りとの相関を調べ、本研究の提案の有効性を検証した。目配りと調理技術の関連性が確認でき、調理技術の新たな指標として「目配り」を確立した。
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