エンドセリン1(ET-1)は主に血管内皮細胞で産生される生理活性ペプチドであり、強力な血管収縮作用を有することから、高血圧及び関連疾患の病態との関わりが注目されている。本研究では、日本人高血圧患者のET-1関連遺伝子解析を推進し、血圧上昇や合併症発症にかかわる遺伝子多型を探索した。ET-1関連遺伝子の計19SNPについて、まず24時間血圧変動との関連を検討した結果、ECE2遺伝子のG28372A多型およびC28586T多型が、日本人高血圧患者の睡眠時血圧上昇と相関を示すことが明らかとなった。ET-1系は血圧日内変動に関わっており、その遺伝子解析から高血圧患者の心血管イベント発症リスクを予見できる可能性がある。また、日本人高血圧患者の慢性腎臓病(CKD)発症に関わるET-1関連遺伝子多型を解析した結果、EDNRA遺伝子のT54204C、G54240AおよびA57938G多型が高血圧患者のCKD発症と相関を示すことが明らかとなった。EDNRAシグナルを遮断する食品や薬剤を、高血圧性CKDの効率的な予防、治療に利用できる可能性がある。
|