研究課題
1.セリシンが高脂肪食摂取ラットの脂質及び糖代謝に及ぼす影響について検討を加えた。その結果、肝臓と血清のトリグリセリド及び血清遊離脂肪酸は、セリシン摂取により有意に低下した。また、食餌セリシンは、血清レプチンとレジスチンに影響を与えることなく、血清アディポネクチンを顕著に増加させることが明らかになった。さらに、セリシン摂取は腹腔内グルコース注射後の血糖値とインスリンの上昇を有意に低下させた。これらの結果から、セリシンが高脂肪食摂取下での脂質代謝と糖代謝の改善に有効であることが示唆された。2.高脂肪食の摂取による脂質代謝の変動と大腸疾病との関連性が指摘されていることから、セリシンが高脂肪食摂取ラットの腸管免疫能に及ぼす影響について検討を加えた。その結果、セリシンの摂取は、腸管免疫能の指標である糞中IgA含量を著しく増加させることが明らかとなった。また、腸管バリア機能の指標である糞中ムチン含量もセリシン添加群で有意に増加しており、IgAの変動と一致していた。一方、血中IgAは高脂肪食摂取により有意に増加したが、このことに対する食餌セリシンの影響は認められなかった。血中IgE、IgG及び炎症性サイトカインであるTNF-αは、セリシン摂取による影響を受けなかった。大腸組織中のIgA量は、セリシン摂取により有意に増加することが認められた。これらの結果より、高脂肪食摂取下においてセリシンが腸管へのIgA及びムチン分泌を促進し、大腸内環境を改善する可能性が推察された。
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