研究概要 |
出芽酵母Saccharomyces cerevisiae (S.cerevisiae) のテスター用に改良された株S.cerevisiae B7 (MATa CAN1 his7-2 leu2-3, 112 ura3-Δtrp1-289 ade2-1 ade2-1 1ys2-B12) を用い、突然変異に対する影響を、天然物及び食品中からの抽出物を用い検討を行った。この株は栄養要求性変異株であり、ヒスチジン、トリプトファン、アデニンをそれぞれ除いた培地を使用することで、復帰変異株 (非栄養要求性に変化した株) として検出される。また、復帰変異株では検出できないタイプの突然変異を検出するため、カナバニンによる前進変異頻度についても比較検討を行った。変異原物質には、酵母において突然変異を誘発するAzidoglycerol (AG) を用いた。 その結果、ブドウの果皮や落花生の種皮に含まれポリフェノールの一種であるレスベラトロールにおいて、CANT遺伝子座に起こる突然変異を抑制する傾向が見られた。以上の結果から、レスベラトロールは遺伝子突然変異を抑制する可能性が示唆された。現在、その他の物質についても検討中であると同時に、レスベラトロールによる抑制効果のメカニズムを明確にしていくためにも、修復される突然変異のタイプを調査中である。また、ミトコンドリアDNAの突然変異についても検討するために、ミトコンドリアDNAの突然変異を標的としたオリゴマイシンによる前進変異頻度についても比較検討中である。
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