研究課題
老化現象は、遺伝的要因(老化遺伝子、抗老化遺伝子)と環境要因(食事、運動、ストレス)が引き起こすと考えられており、それら要因にはDNA損傷が関与していることが多くの研究により報告されている。本研究では、DNA損傷によって起こる遺伝子突然変異に注目し、天然物由来の抗老化物質の探索を試みた。出芽酵母Saccharomyces cerevisiae(S.cerevisiae)を遺伝子突然変異解析用に改良したテスター株S.cerevisiae 7B(MATa CAN1 his7-2 leu2-3、112 ura3-Δ trp1-289 ade2-1 lys2-B12)を用い、天然物及び食品中からの抽出物が突然変異におよぼす影響について検討した。変異原物質には、酵母において突然変異を誘発するAzidoglycerol(AG)を用いた。AGは、どのようなタイプの突然変異を誘導するかいまだ解明されていなかったが、本研究において、90%以上の確率でG:C→A:Tのトランジッション型の突然変異を誘導することが明らかとなった。天然物及び食品中からの抽出物について検討を行った結果、ピーナッツ種皮エキス粉末、トマト果皮抽出物では突然変異を抑制する傾向が見られた。一方、茶抽出物、カボチャ種子抽出物については、突然変異を促進させる傾向が見られた。そこで突然変異に関わる候補物質を特定するために、それぞれの抽出物に含まれている物質について同様の実験を行った結果、ピーナッツ種皮エキス粉末に多く含まれるレスベラトロールでは、遺伝子突然変異抑制作用がみられ、抗老化作用があることが示唆された。また、茶抽出物に多く含まれるエピガロカテキンガレートについては高濃度で作用させたもので、遺伝子突然変異を促進させた。これらの研究に関与する学術論文1報発表し、学会発表を2回行った。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Rejuvenation Research. 13