非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、脂肪肝(NAFL)から非アルコール性脂肪肝炎(NASH)までを幅広く含む病態である。NAFLDを疑うことは血中の生化学的な検査値や画像診断の結果から可能である。しかし、いまだ、NAFLとNASHとの鑑別は難しく、その鑑別には肝生検組織像が必須である。NAFLD患者は急増しており、早急な対応が望まれるが、その対策は遅れている。その理由の一つとして、これまで、適切なモデル動物がいなかったことがあげられる。 Arteriohpidosis-prone rats(ALR)は脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)の亜系統であり、金城学院大学のSPF施設で、系統維持している。この動物にHigh Fat Cholesterol (HFC) dietを自由摂取で与えた。コントロールとしてSHRSP系統の普通食として使用されているSP dietを用いた。 その結果、HFCの短期間の摂取で、肝臓への脂質の沈着が認められた。また、炎症性細胞の浸潤を確認した。血中コレステロールは上昇したが、血中のトリグリセライドの上昇は認められなかった。しかし、肝臓組織中のトリグリセライド値は上昇した。HFCの長期間摂取により、肝臓の脂質沈着・炎症が進行し、線維化が現れた。更に長期間HFCを与えると肝臓の線維化が進行し、偽小葉を形成した。 これらの結果からALRにHFCを与えることにより、NAFLから、NASHへと進行するNAFLDの進行性モデルとなることが示唆された。
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