本研究では、食塩感受性とメタボリックシンドロームの関連を調べるため、肥満・高血圧を自然発症し、メタボリックシンドロームの病態解明に有用なモデル動物SHRSP. Z-Leprfa/IzmNDmcr(SHRSP. ZF)を用いて検討した。 SHRSP. ZFは脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)にZucker fattyラットのレプチン受容体遺伝子変異を導入したコンジェニックラットであり、若週齢より肥満および高血圧を自然発症する。8週齢雄性SHRSP. ZFに食塩を4週間飲水投与し、食塩のメタボリックシンドローム病態への影響をしらべた。SHRSP. ZFの痩せ型同腹子(Lean)および対照動物Wistar Kyoto/Izm(WKY)にも同様に食塩を与えた。 12週齢SHRSP. ZFは、LeanおよびWKYに比べて内臓脂肪の蓄積が顕著であり、食塩負荷により有意な血圧上昇がみられた。高脂肪や高食塩摂取などの食生活習慣によって引き起される肥満・高血圧の状態では、Monocyte Chemoattractant Protein-1(MCP-1)発現および血中濃度が上昇し、マクロファージの組織侵入を介して動脈硬化・血管内皮障害・インスリン抵抗性・腎障害などの症状を進展させる危険性が示唆されている。SHRSP. ZFでは、Leanに比べて血中MCP-1濃度および腎障害の指標のひとつである尿中アルブミン量が上昇しており、SHRSP. ZFにおいては、食塩負荷によりさらに上昇がみられた。高血圧・肥満を重複して発症するSHRSP. ZFにおいては、腎障害の進展がみられ、食塩によりその病態は増悪化していた。今後、メタボリックシンドロームの食塩による増悪化のメカニズムをMCP-1との関連を考慮に入れ検討する。
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