本年度ICタグとフードモデル、PC、ソフトウェアを組み合わせた新しい栄養指導ツール(SATシステム)について、ICタグとフードモデルを基本としたツール構成の確立を目的とし、栄養指導・食事調査ツールとしての妥当性と最適な運用方法を検討した。基本的な食事調査や栄養素摂取量の判断に必要なフードモデルの種類、ツールの運用方法の検討を目的に行った、24時間思い出し法を想定した秤量法による食事調査と、SATシステムによる食事調査を組み合わせた妥当性研究では、SATと秤量法との問に有意な相関関係が得られ、Pearsonの相関係数はそれぞれエネルギー(r=0.65)、たんぱく質(r=0.56)、脂質(r=0.63)、炭水化物(r=0.77)、ナトリウム(r=0.40)であった。同様に3日間の秤量法との比較でも、食事調査用ツールとして使用できる程度の相関係数が得られたことから、フードモデルの種類、数、調査方法などについてはマニュアルが作成できた。一方で、フードモデルの選択の仕方、代用などについては栄養士などの専門職のサポートにより調査の精度が向上することも示唆されており、今後の課題が明らかになった。 一般の対象者で行った食事調査、栄養指導の満足度調査では、SATシステムの特徴であるフードモデルを選ぶだけで食事調査が可能であり、他の調査法と比較しても対象者にかかる時間的、心理的負担が少ないことが示唆されており、食事調査ツールとして有用であると考えられた。このような特徴を活用した生活習慣病などの予防事業モデルを今後開発する予定である。
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