本年度はICタグとフードモデル、PC、ソフトウェアを組み合わせた新しい栄養指導ツール(SATシステム)について、昨年度明らかになったフードモデルの構成、食事調査方法の課題についての検討を行った。若年女性を対象とした妥当性検討では、複数日の食事調査想定した方法を行った。その結果、SATと妥当性が確認されている自記式食事歴調査票による調査結果との間に有意な相関関係が得られ、Pearsonの相関係数はそれぞれエネルギー(r=0.54)、たんぱく質(r=0.58)、脂質(r=0.53)、食物繊維(r=0.58)であった。調査時におけるフードモデルの選択方法を変更したことで、これまで行ってきた方法と比較して、習慣的な食事を診断する精度が向上した。フードモデルを選ぶだけで調査が可能であることから、自記式のアンケート調査票に比較して対象者と調査者にかかる負担が少ないほか、思い出しバイアスなども少ないと考えられた。 現在、地域で行われている主に中高年を対象とした保健活動でも、SATシステムを使用した食事調査、栄養教育を含むプログラムを実行中であり、データを解析する予定である。 今年度はICタグから得られた情報をどのようにモニタ上に表現するか、結果を出力する媒体をどのようなものにするかなど、栄養情報をより適切に対象者に伝えるための工夫について課題が見つかっており、来年度はそれらを検討する予定である。
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