研究課題
柑橘類にはフラボノイド、カロテノイド、クマリン、テルペン、リモノイド、ノミリン等の機能成分が含まれていることが知られている。柑橘類中機能成分のヒト生体内における生理活性についての研究は1970〜80年代から行なわれており、抗酸化作用、がん細胞の湿潤・転移抑制作用、脂質代謝の改善などに注目が集まっている。柑橘類には鎮静作用等があることが言われているが、神経系への作用に関する系統立てた研究は数少ない。本研究では、神経機能に作用する柑橘類中の機能成分を同定し、その有効性と安全性を明らかにする目的で、有効摂取量・有効作用濃度・作用機序について細胞・実験動物モデルで検討する。本年度の研究は交感神経系機能のモデル系として各種薬物の作用解析に広く用いられているウシ副腎髄質の初代培養細胞を用いて、柑橘類中の機能成分の直接作用について細胞レベルで実験検討を行った。(1)様々な柑橘系フラボノイド類を検討したなかでNomilin、Auraptene、Limoninはアセチルコリン受容体刺激によるカテコールアミン分泌を抑制した。抑制作用はNomilin>Auraptene≧Limoninであった。(2)Aurapteneはニコチン性アセチルコリン受容体刺激、電位依存性Naチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌を濃度依存的(10-100μM)に抑制した。(3)Nomilinはニコチン性アセチルコリン受容体刺激、電位依存性Naチャネル、電位依存性Caチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌と45Ca2+流入を濃度依存的(10-100μM)に抑制した。以上の結果から、柑橘系フラボノイド類であるノミリンやオーラプテンは、ニコチン性アセチルコリン受容体等のイオンチャネルを阻害することによりカテコールアミン分泌を抑制することが示唆された。
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Journal of Pharmacological Sciences 109, Suppl
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