サルナシ(Actinidia arguta)は、マタタビ科に属し、中山間地に自生するポリフェノールに富む果実である。サルナシ果実中の主要ポリフェノールは、Caffeic acid、Chlorogenic acid、Catechin、Epicatechin、Procyanidin、Isoquercitrin、Hyperinであることが推定された。また、その総ポリフェノール量を同じマタタビ科のゴールドキウイ、グリーンキウイと比較したところ、約2倍量の0.3%含まれていることが明らかとなった。また、近年メタボリックシンドロームが社会問題となっており、効果的に予防・改善する機能性食品が求められている。そこで、サルナシ中のポリフェノール画分の糖・脂質吸収阻害試験をラットとマウスを用いて行った。その結果、ポリフェノール画分とともにグルコースを負荷した時は吸収量に有意差が認められなかったものの、マルトースまたはデンプンを負荷したときは、投与後15分に有意に血糖値上昇が抑制され、糖の吸収が抑制された。また、コーン油とともにポリフェノール画分を経口投与すると、血中の中性脂肪濃度の上昇ならびに脂質吸収が抑制される傾向にあった。次に、in vitroでのグルコシダーゼ阻害活性を測定したところ、強いマルターゼ阻害を示した。これらのことから、ポリフェノール画分はマルターゼ活性阻害による糖の吸収抑制作用を有することが明らかとなった。デンプン負荷時の血糖値の上昇も抑制したことから、アミラーゼ活性阻害作用を有することが考えられるため、アミラーゼ活性阻害試験、さらに脂質消化酵素である膵リパーゼ活性阻害試験を現在測定中である。
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