研究概要 |
地球の構成や活動を理解することは,小・中学校理科の地学分野において重要な目標である。この目標を達成する第一歩として,小・中学校の理科では身近な地域の地層観察を行い,大地の構成物質やその変動の証拠を野外で実物に触れながら学ぶこととしているが,多くの学校で実施できない状況にある。そのような状況から本研究では,小・中学校の理科の授業において,地層観察が実施できるようにするための方策を明らかにすることを目的としている。 本年度は研究計画の第3年目にあたり,前年度に引き続き,小・中学校における地層観察の実例について,学校ごとの事情も含めて教員からの聞き取り調査を行った。前年度と同様に,中学校を中心として地層観察を実施していない学校が多く,実施できない個別の事情を多く聞き取ることとなった。研究者に対する聞き取りでは,理学系の大学院・学部の教員を中心に進めた。普及に関する取り組みに関心はあるものの,実施できている教員は多くない。 小・中学校の教員が研究者に望む支援と,研究者が小・中学校にできる支援とに格差があることも明らかにできた。特に小学校教員からは,継続的に,すべての学校に対して支援を行ってほしいという要望があるが,研究者側は,そのようなことは不可能だと考えている。 なお,平成22年度末に発生した東日本大震災により,予定していた現地調査がいくつかできなくなった。研究費の繰り越しが承認され,平成23年度に現地調査や聞き取り調査を行った。
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