研究概要 |
対面講義や研究ミーティングを収録・電子化したVideo On Demand(VOD)の効果的な活用を促進することを目的とした,ビデオナビゲーション機能を有する学習管理システム(Learning Management System : LMS)を開発した.具体的なステップは以下の通りである. (1) 講義やミーティングで利用されるPC画面の変化のタイミングを判定・取得することにより,VODに自動的にインデックスを生成する機能を開発した.これらをビデオナビゲーションのための最小単位であるセグメントとして管理することにより,ビデオナビゲーション機能および動画アノテーション機能を実現した.(2) VODや学習履歴に加えて,学習目的・アノテーションを含む学習活動・学習成果などについてもデファクトスタンダードであるSCORM標準規格によって管理できるようにLMSを拡張した.また,学習者のニーズに応じて提供する支援機能を切り替えられるようにコンポーネント化した.(3) VODにアノテーション情報を追加してRSS(Rich Site Summary)により配信する機能を開発した.さらに,スマートフォンで配信したコンテンツを視聴するためのクライアントアプリケーションを開発した.(4) 研究代表者の講義や研究ミーティングを対象として開発したシステムに関するケーススタディを実施した.特に,システムを実験協力者に一定期間利用してもらうことにより,ユーザビリティ評価をはじめとする実運用に必要不可欠な要素についての評価・改善を行った. これらを通じて,一般に電子教材と学習履歴とを管理するLMSにおいて,VODに対するインデックスやアノテーションについてもSCORM規格で統合的に管理することが可能となった.これにより,個別学習だけでなく,他の学習者の指摘や意見を閲覧しながら,ロケーションフリーで学習を行える環境を提供できるようになり,VODの活用場面を大きく広げることが期待できる.
|