本研究では、SNSを通じた他者との交流の中で、身体的スキルトレーニングや実世界での技能開発を対象とした支援環境を開発し、その持続性に着目したSNS運用モデルの提案を目指している。平成21年度に実施した研究内容は下記の3つに整理される。 1 コミュニティ成長モデルの設計 コミュニティ成長モデルは、個対個の関係性に基づく枠組みと、群としての枠組みの両面を考慮する必要がある。このコミュニティ成長モデルを、身体を用いるランニングといった運動技能やプレゼンテーションといった対象に適用して、システムを設計・開発した。また、オンラインコミュニティにコミットするSNS内の個々人の動機付けについても並行して調査を行った。 2 エージェント設計・開発 コミュニティ成長モデルの基本検討および個々のユーザの動機付け法略検討に基づき、ユーザ間交流促進を目的としたエージェント機能を設計した。本エージェントは、SNSベースシステムに対し、システム内部でコンテンツと学習者の行動をモニタして内部モデルを更新し、学習者個々に適応的に行動するべくコンテンツ参照推薦メッセージ機能を実現した。 3 実証実験 コミュニティ型の成長に対する前提実験と、学習者の実世界スキルを開発するための、単体実験およびSNS上での結合実験を計画し、一部試行した。SNS上の実験では、前提実験と単体実験結果を考慮して評価設計を行い、そこに組み込むメディア処理技術の有用性に関しても調査を行った。結果として、複数のスキルに対して異なるメディアを同一SNS内で自由に組み合わせる手法を開発できた。
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