本研究では、eラーニングと対面授業を融合させたブレンディッドラーニング環境において、学習者のモチベーションや自己制御学習方略に関する学習者特性を考慮しながらeラーニングコンテンツを積極的に利用させる授業設計を検討し、かつ、それらが学習効果にどのような影響を与えるのか、追究することを目的とした。ブレンディッドラーニングの課題として、1)授業設計及びコンテンツの在り方の検討、2)学習者に応じた支援方法の検討、3)eラーニングコンテンツの積極的な利用の促進、4)講義型、演習型等、種々の対面授業の形態におけるブレンディッドラーニングの分析などが挙げられている(安達2007)。さらに、授業が進むにつれ、モチベーションが低下し、次第に授業時間外にeラーニングを利用しなくなる学生が存在することから、授業時間外にeラーニングを利用させる方略について検討することが求められている。本年度は、初等教育や高等教育においてブレンディッドラーニング環境を構築し、その実践を行った。そして、eラーニングシステムに構築されたコンテンツやeラーニングシステムの利便性、授業時間外におけるその利用頻度、および、自己制御学習方略の利用等について追究した。結果、初等教育では、予習復習としてそのシステムを利用した児童は、それを利用しなかった児童に比べて、授業に対する本質的価値や認知方略の利用等について、高い認識を示していることなどが分かった。高等教育においては、eラーニングシステムを授業の予習もしくは復習として利用した学習者は、授業に対する本質的価値や「課題に取り組む時、繰り返し教材などを確認する」といった自己制御学習方略が高いことが明らかになった。さらに、eラーニングシステムの効果と授業に対する本質的価値、本質的価値と学習に対する姿勢の間に因果関係が認められるなどの効果が認められた。
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