本研究では、教科横断的な情報活用能力の一側面であるコミュニケーション能力を育成する理論的前提と手法について取り組んだ。事後的な対処としての情報モラル指導や、危険性の認識に留まらず、情報社会に正しく参加していくための核となる学習体験としての交流学習の学習評価の方法と、カリキュラム上の位置づけ、教員への支援体制を明らかにするため、A)情報教育の視点からコミュニケーション能力の構成要素の明確化、B)評価手法の開発、C)コミュニティサイトの構築を行った。最終年度である本年度の成果は以下の通りである。 A)情報教育の視点からのコミュニケーション能力の構成要素の明確化:国語科・社会科を横断したモデル単元の整理をもとに、メディア制作を取り入れた交流学習に関するコミュニケーション場面を位置づけたリーフレットを開発した。 B)評価手法の開発:鹿児島県・宮城県内の研究協力校におけるフィールド調査により、A)で明らかにした交流場面に対する評価指標(ルーブリック)を開発し、パフォーマンス評価を行った結果、交流相手と相互評価の視点を共有することによる効果、相互評価を取り入れる際の授業展開の工夫等を明らかにすることができた。 C)コミュニティサイトの構築:交流学習における教師の授業運用状況を支援する目的として特に国際交流学習を対象にした、Webサービスの運用を行った。また、他のサービスに対する訪問調査を実施し、Webサービスによる交流学習運営支援の可能性について分析を試みた。さらに、これらの成果をもとにポータルサイトを改修し、知見の整理追加と、インターフェースの改善等を行った。
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