1.展示解説システムに導入する展示手法の調査とシステム設計 今年度は、2つのシステム設計を実施した。ひとつは、名古屋市科学館の来館者調査に基づき、市民の思い出をベースにしたバーチャルミュージアム(タイムカプセル)のシステム設計である。具体的には、名古屋市科学館の内部を3次元CG化し、そこに市民の思い出を文章や映像で関連づけるというものである。もうひとつは、金城学院大学のキャンパス内に広がる里山の観察ガイドシステムである。来館者の「コミュニケーション」「研究者の知識と展示物のリンク」「ストーリー」を考慮し、システムデザインを行ったもので、本システムの解説方法は、里山をコンテンツとしているものの、広くミュージアムに応用できるものである。 2.展示解説システムの開発 上記1のシステム設計を実施したのち、実際にプロトタイプを開発した。名古屋市科学館のバーチャルミュージアムは、sketch up(google)で詳細に3次元CG化し、来館者が没入感をもって館内をバーチャル体験できるようにした。これは、本システムが思い出をベースにしているためであり、思い出を引き出すことを目的としている。更に、実際に来館者の思い出(文章、映像)を収集し、場とリンクさせていく。これにより、来館者の博物館体験を知識だけでなく個々のナラティブ(キャリア)とリンクさせ、より詳細に再現できると考える。里山の観察ガイドシステムは、館内のコミュニケーションを専門知識とともに豊にすることを目的として開発した。その際に重要なのは、専門知識と諸個人の経験(ストーリー)のリンクである。具体的には、携帯端末iPod touch(Apple)のアプリケーションを開発し、観察ガイド内の「語り」とともに、里山内を散策する。来年度は、本年度のシステム開発で生じた課題を解決に導くため、多くの実証実験を繰り返す。
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