研究概要 |
本年度は、昨年度のシステム設計ならびにプロトタイプ開発に基づき、実証実験を繰り返した。 1.名古屋市科学館の市民の思い出に基づくバーチャルミュージアムの開発 名古屋市科学館の来館者調査、ならびに、市民の科学館に対する思い出アンケート(インタビュー)を実施し、「思い出」の収集を行った。「デジタルタイムカプセル」と称する本コンテンツは、市民等から集めた「思い出」をベースにしたバーチャルミュージアムである。市民の思い出分析により、本研究が軸とする来館者の博物館体験(Falk,John H.)と同様、来館者は、「個人的コンテクスト」「社会的コンテクスト」「物理的コンテクスト」に基づき、博物館体験を行っていることが明らかになった。そして、本研究では、思い出を「愛する」「学ぶ」「安らぐ」などの8つの動詞にグルーピングし、その思い出を表示させるバーチャルミュージアムを開発した。なお、本コンテンツは、名古屋市科学館の1展示物として展示されている。 2.専門家の知見と資料を融合させた里山を案内する解説ガイドシステムの開発 金城学院大学内には広大な里山が残っている。その里山を専門家の知見と資料を融合させ、ガイドする展示解説システムを開発した。単に動植物を紹介する図鑑的なガイドではなく、「個人的コンテクスト」「ストーリー性」をキーワードに、物語を読むような感覚で里山を楽しむことができる工夫を施した。具体的には、iPod touch (Apple社)の携帯端末を使い、3つのストーリーに基づき解説するシステムを開発し、利用者から高い評価を得た。
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