研究概要 |
ミュージアム体験に基づくテジタルコンテンツの調査、および、実際の企画、開発、評価を行ってきた。その結果、(1)個入的コンテクスト、社会的コンテクスト(Falk,John H氏)の重要性、(2)専門家の知識との融合、ストーリー性の重要性が明らかになった。具体的には、1)「思い出」をベースにしたバーチャルミュージアム(名古屋市科学館)、2)携帯端末を活用した解説システム(金城学院大学里山)において、実践研究を重ねている。今年度は、昨年度来の課題であった次の事項について明らかにし、各々のシステムを改良、また、新しくシステムの開発を行った。1)のバーチャルミュージアムにおいては、さらに市民の思い出を映像で閲覧させる機能を加え「個人的コンテクスト」「社会的コンテクスト」に関わるコンテンツの充実をはかった。また、関連する来館者の思い出を紐付けし、閲覧させることで、本コンテンツを閲覧する利用者が新しい思い出を蘇らせることができる工夫をした。さらに、今年度の課題であった「場」とのつながりを強化させるため、思い出の写真などを収集、整理、閲覧できるようにした。2)の携帯端末を活用したシステムでは、昨年度まで開発してきたコンテンツのターゲット層をより広げるため、新しく子ども向けの「里山工作図鑑」の開発を行った。1)と2)のコンテンツともに、実際に活用され、多くの市民に利用されているシステムである。本研究のように人々の「個人的コンテクスト」「社会的コンテクスト」に基づくミュージアム体験を可視化することで、市民のより新しく深いミュージアム体験が創出できると考える。
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