本研究では、高等教育のPBL(Project Based Learning : 学習者がグループになって議論を行い、ひとつの課題を探究する学習方法)において、学生が授業時間外の分散環境でも、クラス全体および他グループの活動を意識してグループ作業を円滑に進めるために、これまでに研究代表者らが開発してきたWebと携帯電話におけるPBL支援グループウェアに実装する新機能の開発と評価を行うことを目的としている。本年度の成果は以下の2点である。 1. システムに実装する機能の設計 PBL活動をより円滑に進められるようなグループウェアの機能及びユーザインタフェースの検討と設計を行った。決定された機能には、常に他者の作業の様子が見え、他者間の会話が自然に聞こえてくるという特徴を持つ、美術大学のデザイン教育が行われる学習環境の特性である「工房・スタジオ的学習環境」の要素を取り入れたことに大きな特徴がある。この要素は、PBLに非常に有用であると思われるが、これまでのPBLおよび関連研究において着目され、取り入れられたものはほとんど見られない。 2. プロトタイプ開発と稼働試験 1. で策定した仕様に基づきプロトタイプを開発し、稼働試験を行った。研究代表者が開発工程の管理およびユーザインタフェースデザインを行い、詳細機能実装・サーバ設定等を外部業者に委託した。 次年度は、稼働試験結果を受けて、高等教育現場での実証実験に耐えうるレベルのグループウェアを完成させる。そして、大学における実際のグループ学習活動を行う授業のなかで利用実験を行い、その有用性を検証する。
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