従来の継続的教育改善システムに対して統計学に基づいた解析を取り入れた新しい計測的教育改善を構築することが本研究の目的である。最大のメリットは改善に必要な成分を迅速・確実に抽出して効率よく改善できる点である。主成分分析を用いて得られた新たな評価指標を用いることで、これまででは得られなかった改善に必要な成分が迅速に得られることが特徴である。 今年度はこれまでの研究成果を踏まえて、これまで用いてきた主成分分析による改善方法が適切かどうか現場の教員の意見と綿密に照らし合わせながら検証した。昨年度までは大学・高等専門学校で協力をいただきながら研究を実施したが、今年度は高校でも本格的に協力していただいて研究を実施した。 さらに本手法の具体的な応用の一つとして改善が容易ではない、授業にまじめに取り組んでいるものの成績の向上が見られない生徒の改善について主成分分析を用いて従来では分からなかった改善方法を提案することができた。新たに得られた結果では改善のために生徒が何をしなければならないということが生徒自身が気づいていない項目を明らかにすることができ、授業の担当教員および課外活動で指導している教員のコメントと慎重に照らし合わすことで検証することができた。 そして現場で容易に解析ができるようにプロトタイプとしてのGUIベースでのOSに依存しないソフトウエアを開発した。主成分分析を用いるためには線形代数の知識が必要なため多くの現場の教員に利用してもらうためにはそのような知識を必要としなくてもソフトが利用できるようにソフトウエアの開発の設計が必要であり、開発したソフトウエアはできるだけ容易に扱えるようにした。
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