研究概要 |
近年の大学入学志願者の社会的および教育的背景の多様化により,大学入学者選抜方法として,教科・科目別の知識や学習到達度を評価する学科試験だけでなく,受験生の多様な能力,資質,適性などを多面的に評価する総合的な試験を利用すること,およびその有効性の検証が重要な課題となってきている。このような状況に鑑み,総合試験の開発および導入に際しての諸課題のうち,特に総合問題の内容およびその特性を明らかにすること,また,広範な分野において共通に必要とされる言語運用能力を包括的に評価する総合的な試験を構築することを目的とした研究を行った。 今年度は,大学入試センター試験英語(筆記およびリスニング)得点と受容的言語能力(聴解力および読解力)の関係を分析した。特に,センター試験「英語」の筆記テストとリスニングテストの間で聴解熟達度との相関の度合いに差が見られ,かつリスニングテストの方が高い相関を有していることが判明した。このことからリスニングテストが筆記テストとは独立に一定の役割を果たしていることが推察された。また,センター試験「英語」が測定している能力は主に基礎段階の雷語使用者のレベルであり,高校段階の学力を確認するという意味では妥当なレベルであることが推察された。成果については全国大学入学者選抜研究連絡協議会第4回大会および日本テスト学会第7回年次大会にて発表を行い,一部は大学入試研究ジャーナルに掲載された。
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