研究概要 |
近年の大学入学志願者の社会的および教育的背景の多様化により,大学入学者選抜方法として,教科・科目別の知識や学習到達度を評価する学科試験だけでなく,受験生の多様な能力,資質,適性などを多面的に評価する総合的な試験を利用すること,およびその有効性の検証が重要な課題となってきている。このような状況に鑑み,総合試験の開発および導入に際しての諸課題のうち,特に総合問題の内容およびその特性を明らかにすること,また,広範な分野において共通に必要とされる言語運用能力を包括的に評価する総合的な試験を構築することを目的とした研究を行った。 特に今年度は,前年度に引き続き,大学入試センター試験英語(筆記およびリスニング)得点と受容的言語能力(聴解力および読解力)の関係を分析した。英語テストと熟達度アンケートの下位尺度(言語活動,言語能力,言語使用領域等によって分類された領域ごとの尺度)との相関係数の値を調べることにより,センター試験の英語テストがCEFR(外国語の学習,教授,評価のためのヨーロッパ共通参照枠)で想定している活動内容をまんべんなく測定していることが推測された。また,特定の言語活動よりも,より一般的な読解力や聴解力を測定していることも示唆された。 さらに,教科科目フリー型試験の作題上の課題の一つである,受験者属性間における問題の公平性について検証するため,受験者属性間の一般学力差を考慮した上で属性が総合試験成績に及ぼす効果を調べた。 これまでの研究で得られた結果を研究報告書にまとめ,関係者に配布した。
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