研究概要 |
本研究は,大学教員が「評価」の主体として大学内外の各種評価に能動的に取り組み,また,自らの教育の質の改善の主人公となるための意識改革を生じさせるしくみである「ティーチング・ポートフォリオ作成支援システム」の開発を第一の目的とする. 平成22年度にティーチング・ポートフォリオについての総合的な情報提供をはかり,作成者とメンターのための支援システムをウェブサイト・コンテンツとして試験的に開始しているが(http://www.teaching-portfolio-net.jp/), 本年はこの本格的稼働を目指して評価と検証および公開に向けたプロセス遂行を主とした研究を実施した.具体的には,(1)ポートフォリオ作成のための事前課題作成支援プログラム,(2)作成およびアドバイスの際に参考となるポートフォリオの検索のためのポートフォリオ・データベース,(3)ポートフォリオに関する文献情報等をまとめたリソース・参考文献.の3コンテンツについて公開に向けた評価および検討を行った.その結果,(3)については既に公開し,(1),(2)は公開前の最終的なチェックを終え,平成23年度に公開の運びとなる. ティーチング・ポートフォリオを導入する機関は年々増加しており,ポートフォリオの作成者は2010年末時点で既に100名を超えている.今後ポートフォリオがその有効性を維持したまま形骸化することなく正しく普及するためには,ポートフォリオに関する必要な情報の提供と労力を要する作成プロセスを支援するためのプログラムが不可欠である.これらの観点から,本システム開発によって提供された情報および支援環境の意義は大きい.今後は,本システムの全コンテンツの公開と,全国のポートフォリオに関心のある組織・個人のネットワーキングの場として機能させうるような仕組みを加えてゆくことが必要であると考える.
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