研究課題
本邦のいくつかの製塩遺跡では、塩を作成したとされる製塩土器や塩の生成に利用したとされる木造遺物から、白色の付着物が発見される。報告者は、発掘された白色付着物中の環境放射能、人為起源の放射性核種および同位体の測定を行い、付着物中に含有される放射能の起源の議論を行った。放射性核種の起源の議論を行うためには、今年度は、試料中の放射性核種のコンタミネーションの評価を行った。さらに、付着物の起源の多角的なアプローチを行うために、付着物の材料となりうるいくつかの物質の環境放射能の測定を行った。1) コンタミネーションの評価遺物の発掘状態と遺物の「年代軸」を比較する手法を用いて、その試料に含有される人為起源の放射性核種のコンタミネーションの由来の評価を行った。長年地上に放置させ核実験以後の雨水にさられた遺跡の遺物と砂地に埋没された中世の遺跡の遺物に付着した試料中のRadiocarbonの測定を行い、得られた年代値から、試料の汚染を観測した。発掘された白色付着物の試料の1つの遺物中のRadiocarbonは、複数の由来に伴うファクターを考慮しても、年代軸に明らかに矛盾があり、若い年代のRadiocarbonの汚染を反映したものと考えられた。2) 付着物の起源決定のための多角的アプローチ付着物の起源の多角的なアプローチを行うために、試料の発掘された遺跡と同じ場を持つ海水をロケーションとし、海水中のいくつかの環境放射能強度比の実測値を得、海水を主たる材料としたケースに適応できる放射性核種の幅を確定した。上記1),2)の研究成果は、Radiocarbon2009およびAPSORC2009の国際会議にて成果発表を行った。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件)
Radiocarbon 52
Appl. Radiat.Isot. 67
ページ: 1479-1483
J.Hydrol. 376
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