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2009 年度 実績報告書

西アジアにおけるムギの栽培化-栽培型・野生型の同定基準の作成-

研究課題

研究課題/領域番号 20700664
研究機関山口大学

研究代表者

丹野 研一  山口大学, 農学部, 助教 (10419864)

キーワードドメスティケーション / 西アジア考古 / ムギ
研究概要

西アジアは世界最古の農耕が発祥した地域とされる。ここではムギ作を中心とした農耕が、約1万年前の新石器時代に出現・展開し、欧州・インド・アフリカ・中央アジアなど周辺地域に拡散していった。アインコルンコムギ・エンマーコムギ・オオムギは最古の栽培植物であるとされている。しかし考古遺跡から発掘された植物遺存体について、これまで栽培型・野生型を判別するための詳細な基準が設けられていなかった。これらムギ類について栽培型・野生型を判別することは、農耕起源のプロセスをあきらかにするうえで極めて重要な調査事項である。このことから本研究では、農耕起源地と目されるシリア・トルコの初期農耕に前後する合計10遺跡余りを対象に、発掘によって出土したムギの小穂軸に刻まれる脱穀の傷痕を鑑定したことで、ムギの栽培型・野生型を判別するための同定基準を作成した。
本同定基準の詳細な説明はここでは避けるが、その分類方法を検討するために、とくにH21年度にはアインコルンコムギとエンマーコムギの現生種の野生種および栽培種をビニルハウス内で育成した。そして山口大学構内の数種の樹木を伐採した丸太から搗き臼を製作して、脱穀の再現試験を行った。遺跡出土ムギ小穂軸とこの脱穀試験による傷跡とを比較検討し、最終的に同定基準を作成した。
本研究によって、発掘調査の際に、研究者間でムギの栽培型・野生型の判別に差異が生じていたことが是正される。すなわちこれまで栽培型ムギが出土したという誤報が多かったが、これが改善されるだろう。植物栽培化のプロセスひいては農耕発祥のプロセスの解明のための、ひとつの基礎が作られたといえる。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (4件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] テル・サラサート遺跡(イラク)の炭化種子同定と貯蔵されていた二条オオムギのクリーニングに関して2010

    • 著者名/発表者名
      丹野研一
    • 雑誌名

      西アジア考古学 11

      ページ: 81-88

  • [雑誌論文] シリア北西部、デデリエ洞窟における2008年度先史人類学的調査2009

    • 著者名/発表者名
      西秋良宏, ら
    • 雑誌名

      高知工科大学紀要 6

      ページ: 1-15

  • [雑誌論文] サラット・ジャーミー・ヤヌ遺跡(トルコ共和国)発掘調査概報:2004-2008年2009

    • 著者名/発表者名
      三宅裕, ら
    • 雑誌名

      筑波大学先史学・考古学研究 20

      ページ: 75-112

  • [雑誌論文] Botanical survey of Bishuri hills ; related with the excavation of the Rujum Hedaja 12009

    • 著者名/発表者名
      Akashi C., ら
    • 雑誌名

      AL-RAFIDAN 30

      ページ: 188-190

  • [学会発表] Allopolyploidy of the Hordeum murinum complex indicated by a nucleotide sequence of cMWG6992009

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi TANNO, et al
    • 学会等名
      6th International Triticeae Symposium
    • 発表場所
      Kyoto, Japan. Kyoto university
    • 年月日
      20090600
  • [学会発表] Abundant plant remains from a Natufian burnt building of Dederiyeh, northwest Syria2009

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi TANNO, et al
    • 学会等名
      2th Natufian conference
    • 発表場所
      Paris, France. Institut National d' Histoirede L'Art
    • 年月日
      2009-09-11
  • [学会発表] 考古学・民族学・遺伝学から紐解くムギ類のドメスティケーションと育種応用への可能性2009

    • 著者名/発表者名
      丹野研一
    • 学会等名
      中国地域育種談話会・日本作物学会中国支部合同大会
    • 発表場所
      広島大学,東広島市
    • 年月日
      2009-07-17
  • [学会発表] 遺跡出土ムギ類における栽培・野生型の識別法の検討と栽培化プロセス2009

    • 著者名/発表者名
      丹野研一
    • 学会等名
      日本西アジア考古学会
    • 発表場所
      広島大学,東広島市
    • 年月日
      2009-06-14
  • [図書] 「考古学からみたムギの栽培化と農耕の始まり」『麦の自然史(佐藤洋一郎・加藤鎌司編)』2010

    • 著者名/発表者名
      丹野研一
    • 総ページ数
      71-85
    • 出版者
      北海道大学出版
  • [図書] 「紀元前3千年紀の出土植物」『紀元前3千年紀の西アジアーユーフラテス河中流域に部族社会の原点を探る(大沼克彦・西秋良宏編)』2010

    • 著者名/発表者名
      丹野研一
    • 総ページ数
      75-85
    • 出版者
      六一書房
  • [図書] 「旧人ネアンデルタールと新人サピエンスの交替劇を探る-シリア・デデリエ洞窟2009年度調査」『考古学が語る古代オリエント(平成21年度)第17回西アジア発掘調査報告会報告集』2010

    • 著者名/発表者名
      赤澤威, ら
    • 総ページ数
      24-30
    • 出版者
      日本西アジア考古学会
  • [図書] 「農耕のはじまりとその展開」『農耕と都市の発生-西アジア考古学最前線-(西秋良宏・木内智康編)』2009

    • 著者名/発表者名
      丹野研一
    • 総ページ数
      17-30
    • 出版者
      同成社
  • [図書] 「現生人類の起源を探る一シリア、デデリエ洞窟の2008年度調査-」『考古学が語る古代オリエント(平成20年度)第16回西アジア発掘調査報告会報告集』2009

    • 著者名/発表者名
      西秋良宏, ら
    • 総ページ数
      22-27
    • 出版者
      日本西アジア考古学会

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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