つくば市は現在、首都圏のベッドタウンとして、第二の発展期を迎えている。そのため、本研究の結果と過去の観測データと比較することにより、つくば市の発展によるヒートアイランド現象の進行をリアルタイムに捉えることができる。今年度は、2010年8月および2011年2月のそれぞれ1ヶ月間、気温の定点観測を実施した。その結果、8月平均と2月平均としてのヒートアイランド強度はそれぞれ1.6℃、0.8℃であることがわかった。この結果はヒートアイランド研究のみならず、地球温暖化研究に対しても有益な知見となると期待される。 8月の晴天日数日間、0.5hPa程度の小規模な児童公園、2hPaの中規模公園、20hPaの大規模な公園の内外において気温観測を詳細に実施した。その結果、規模の大きな公園ほど気温が低いこと、小規模な公園はその周囲の街区の気温とほとんど差がないことがわかった。また、大規模公園と小規模公園には気温差が認められたが、熱中症指数として広く利用されているWBGTに明瞭な差が見られないことがわかった。 さらには、8月の晴天日数日間、小規模公園にて、周囲の熱環境に対する公園の影響距離を把握するための観測を実施した。その結果、影響距離はおおよそ30m程度であることがわかった。
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