研究概要 |
本年度は, 研究対象である鳥取砂丘の調査地での調査体制の確立, ハンドオーガーによる分析試料の採取, 露頭での地層観察, 外注によるOSL年代測定を行った. 科学研究費採択通知後, 鳥取大学地域学部の小玉芳敬准教授に協力を要請し, 5月に現地での下見調査と打ち合わせを行った. 7月には現地において7泊8日の地中レーダー探査を行い, 海岸線に直交方向の2測線, 平行方向の1測線, の合計3測線で, 延べ3.5km長, 最大深さ25mの地質断面を得た. これらの記録では冬季の北西風による砂丘の発達過程や相対的な堆積の順番, 更新世の古砂丘と完新世の新・旧砂丘との区別を行うことができ, ハンドオーガーによる年代試料採取の際の重要な参考となる. 地中レーダー探査を行った砂丘地は自然公園の特別保護地区のため, ハンドオーガーによる土砂採取には環境省・文化庁双方の許可が必要で, これらについては1月に追加調査を行うなどして申請し, 3月に許可を得て, 次年度の調査に備えた. 10月の調査では自然公園外の露頭において5点のOSL試料を採取し, これは英国シェフィールド大学のMark Bateman博士に分析を依頼し, 古砂丘からは3〜5万年前の年代値を得, 新砂丘からは300年前の年代値を得た. 古砂丘のOSL年代は国内では初の報告例で, 氷期における海岸砂丘の活動度を評価する上で重要な結果といえる. 以上, 初年度の取り組みで得られた結果は, 3月に行われた日本堆積学会においてポスター発表を行った.
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