本研究では、亜酸化窒素の高感度三酸素同位体定量法を各発生源における亜酸化窒素について応用し、大気亜酸化窒素の酸素同位体異常の原因を解明することを目的としている。 本年度は亜酸化窒素の主な発生源のうち海洋について以下の4項目について研究を遂行した。(1)海水試料中の亜酸化窒素の三酸素同位体定量に向けて溶存気体抽出装置を開発した。装置は真空部、抽出用真空ガラス容器(2.8L)、亜酸化窒素捕集トラップ、保存用ガラス容器(3ml)、制御部にようて構成され8個の空圧式開閉バルブと2個の流路変更用バルブからなる。すべてのバルブはPCによって制御されるよう設計し試料の取り付け以外は自動プラグラムにようて動作し、およそ45分で2.5Lの海水試料から亜酸化窒素を抽出可能である。(2)開発した装置について抽出効率、再現性、精度、確度などの性能を検討し、キャリアガス流量、抽出時間などを決定した。(3)海洋研究開発機構所属の白鳳丸による研究航海(KH08-02次航海)に参加し、西部北太平洋において深度1000mまでの海水試料を17点、1000m以深の深層水試料を12点採取し、開発した装置を使って亜酸化窒素を抽出した。(4)持ち帰った試料を同位体測定に供し鉛直分布を明らかにし、海洋から発生する亜酸化窒素について酸素同位体異常の有無について、また大気中亜酸化窒素の酸素同位体異常の程度と比較することにようて、どの程度大気中亜酸化窒素の酸素同位体異常の原因となっているかを検討した。 年度内成果について国内の学会等で報告した。
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